2015年4月30日木曜日

昭和の日

みなさん、こんにちは。ご機嫌よろしゅうございます。

昨日は祝日でしたね。いかがお過ごしでしたでしょうか?
GWの大型連休の始まりで旅行に行ったりした方もいらっしゃるのではないかと思います。
当院は祝日も診療しているため、かくいう私は連休などとは無縁の生活(笑)。
みなさん、けがや事故などには十分気を付け楽しんでください(べ、別にうらやましくなんか思ってないんだからね~)。

さて、毎度のことながらとても重要なことなので今回も書かせていただきますが、祝日とは単なるお休みなどではありません。
ではなぜ祝日がお休みなのでしょうか?それは私たちにとって「特別な日」だからです。
祝日はその社会の歴史や文化、宗教などからそれぞれ祝い、感謝し、記念すべき事柄にちなんで決められた特別な日なのです。
そのため普段とは区別され、普通の日に行っている仕事や授業を一斉に休む建前となっているのです。
特別な日として普段とは違う生活をすることで、いつもは忘れられやすい歴史や文化、宗教などを共にする社会の連帯性を確かめることができる。まさに先人たちの知恵なのです。
昔は祝日のことを「旗日」と呼んでいました。祝日に国旗である日の丸を掲げることで普通の休日との違いをはっきりさせる、これも大切な知恵だったのです。
今ではほとんど見られなくなってしまいましたが...(といっても、昭和の終わり頃に生まれた私にとってはむしろこれが当たり前になってしまっているのですが...)。

国民の祝日に関する法律 第1条 によると、
「自由と平和を求めてやまない日本国民が、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、国民こぞって祝い、感謝し、または記念する日である」
と定義されています。「国民こぞって祝い」というのがポイントですね。
昔は小学校も登校し、校長先生から祝日について話を聞き、紅白まんじゅうをもらって家に帰っていました。

4月29日は昭和天皇のお誕生日で、昭和天皇のお人柄をしのび、昭和天皇と共に生き抜いた昭和という時代を忘れがたい国民の願いが強くあったために祝日として残されました。
昭和天皇と昭和への想いを記念する祝日であります。
しかし、これは極めて異例中の異例なことでした。

戦前までは、天皇誕生日は「天長節」という名前でした。
天皇のお誕生日ですから、天皇がお亡くなりになると日にちが変わります。
明治時代の天長節は11月3日でしたし、大正時代は10月31日(ただし、大正天皇のお誕生日は8月31日でした)、そして昭和が4月29日で現在12月23日となっています。

では何が異例だったのか。通常ならば、天皇誕生日(天長節)は日にちが変わると平日に戻ります。
御歴代の天皇のお誕生日を全て祝日とすることは現実には無理があり(一年中祝日だらけになってしまいますね)、今上陛下のお誕生日を祝う天皇誕生日との兼ね合いからも不都合な点が生じてしまいます。祝日にするのは今上陛下がいらっしゃってこそなのです。
明治から大正、大正から昭和への転換のとき、いずれも天皇誕生日は平日に戻されていました。

しかし、日本の歴史の上でも特筆すべき飛躍や危機の時代を支えてくださった天皇陛下について、その時代を生きた人々の足跡を後世に残す意味も込めて、国民にそのお誕生日が残ることを願う想いが強い場合にその趣旨を生かした祝日として残されることがあります。
一つは「明治節」、今の文化の日です。近代日本の礎を築かれた明治天皇がお亡くなりになったあと、そのお誕生日であった11月3日を長く記念することを望んだ国民の想いにより作られました。
そしてもう一つがこの「昭和の日」なのです。

ただし、天長節から祝日として残された当初は「みどりの日」という名前でした。
昭和の時代であれば自然を大切にされ、いつくしまれた昭和天皇の面影を思い浮かべて偲ぶことがことができたと思いますが、このまま歳月を経ればやがてこの日の由来も忘れられ、分からなくなってしまいます。現に私はみどりの日と聞いてもピンときませんでした。
それに昭和天皇のお人柄の一面でしかありませんし、昭和という時代を顧みるには言葉が足りなすぎます。

そこで「みどりの日を昭和の日に変えよう!」と立ち上がった方々、26人から署名運動がスタートし、遂には政治家を動かし昭和の日となったのです。

そうしてできた昭和の日の趣旨はこちらになります。
「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす」

昭和の日の趣旨のキーワードは「復興」
昭和20年、日本史上のどん底であった戦後の焼け野原から立ち上がり、昭和34年には当時世界最大のオリンピックと言っても過言ではない東京オリンピックを開催できるほどまでに力強く復興を果たしました。
この時、開会宣言を行ったのはもちろん、昭和天皇です。
こうした昭和の復興の歩みを決して忘れないために、どんなどん底からでも立ち上がることができる強さを日本人は持っている、このことを後世に伝えるために、昭和の日の趣旨は考えられました。

では、この「後世」とは誰に向けられたものなのでしょうか。それは言うまでもなく、今を生きる私たち日本国民です。
この昭和の日に込められた想いを私たちは決して忘れてはならないし、先人たちから託されたこの想いをしっかり受け止め、そして背負い、今を生きることが私たちの責務なのではないでしょうか。

2015年4月28日火曜日

食生活・油③

みなさん、こんにちは。ご機嫌よろしゅうございます。

最近いいお天気が続くようになりましたね。やっと春らしく暖かく...というか、暑いくらいでしょうか?
洗濯物もよく乾きますね。私は昨日、冬物の布団カバーとシーツを洗って仕舞いました。

さて、油の話。いつも冒頭の前置きが長く、なかなか本題に入れませんので(笑)。今日はさっそく前回の続きを。

今、最も危険視されている食品の一つであるトランス脂肪。海外はどう対応しているのか、といったことをご紹介いたしました。

実はトランス脂肪が危険だと言われ始めたのは最近の話ではありません。トランス脂肪の代表であるマーガリンの有害性は、40年以上も前からアメリカの学会などで既に指摘されていました。
アメリカの自然派運動家であるフレッド・ローは、「マーガリンを顕微鏡でのぞいてみると、プラスチックの構造にそっくりだった。マーガリンを店の裏部屋の窓際に放置したらどうなるかという実験をしたところ、2年経っても虫一匹たりとも寄り付かず、カビも生えず、半分溶けて崩れただけでそのままの形を保っていた」と語っています。

虫に無視されるようなものが(笑)、果たして「食べ物」と言えるのでしょうか?ましてや、プラスチックを食べているようなものだったなんて...。

〇1992年10月7日ニューヨークタイムズ「マーガリンはコレステロール値を高くし、心臓病の原因になり得る」というアメリカ農務省の見解が発表された。
〇1999年、アメリカ心臓病学会「心臓病の予防のためにはトランス脂肪の多いマーガリンなどは使わずにそれが少ないものを使うこと」というガイドラインを定めた。
〇イギリス・オックスフォード大学のピュリ医師らは「トランス脂肪は脳の活動に必要な酵素を破壊、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)などを引き起こす大要因になり得る」というレポートを発表。
〇アメリカ健康加齢研究所のM・C・モーリス氏は「トランス脂肪や飽和脂肪酸の摂取量が多い人ほど認知機能が早く低下することが判明している。血中にLDL(悪玉コレステロール)が増えるために脳の動脈硬化も進み、認知機能も早く衰えやすくなるのではないか」という見解を示している。

〇WHO(世界保健機関)とFAO(国連食糧農業機関)の「食事、栄養および慢性疾患予防に関する合同専門家会合」によると、食事からのトランス脂肪の摂取はきわめて低く抑えるべきで、最大でも1日の総エネルギーの1%未満にするよう勧告。

前回のブログとも合わせて、これだけ多くの警笛が鳴らされておきながら、我が国・日本の見解はどうでしょうか?

内閣府食品安全委員会2006年発行「日本人の栄養所要量 食事摂取基準編」によると、
「トランス脂肪の摂取量が増えると血漿コレステロール濃度の上昇、HDLコレステロール濃度の低下など、動脈硬化の危険性が報告されている。(略)日本の油脂製造業においては一般的にはできるだけトランス脂肪が生成されないように製造されています。(略)このように、諸外国と比較して日本人のトランス脂肪の摂取量が少ない食生活からみて、健康の影響は少ないと考えます
と書いてあります。

なんと!トランス脂肪の有害性を把握しておきながら、微量であれば摂取し続けても良いと言っているような見解が載っています!
さらに日本ではトランス脂肪を大量に含んでいる商品であっても「トクホ(特定保健用食品)に認定し、厚生労働省のお墨付きとしてあたかも健康に良いものであるかのように販売されています。
トクホそのものの問題点についてもまた改めて書きたいと思いますが、いかに日本が危機意識がないかがお分かりいただけると思います。
仮にも食品「安全」と名乗っている内閣府の委員会であるにも関わらず、日本国民の「何の」安全を守っているのでしょうか?メーカーのイメージでしょうか?少なくとも、私には日本国民の「健康」という生活の「安全」を守ろうとしているようには見えません。

前回の海外の対応と合わせて見てみても、日本の対応は遅れていると言わざるをえません。
はっきり言って、歪んでいます。

それでも、こういった食の安全に対する情報が以前よりも世に出てくるようになってきたと思います。
ネットはもちろん、本屋さんに行っても今回挙げたトランス脂肪などについて危険を知らせるような本もたくさん店頭に並ぶようになってきました。
自分の健康は自分で守る、正しい情報や真実は自分の手で掴み取る。
様々な情報があふれている現代社会では、こういったスタンスはとても大事ではないでしょうか。

最後は、少々口が悪すぎました。反省...

お読みいただき、ありがとうございました。お退屈様でした。

2015年4月23日木曜日

食生活・油②(トランス脂肪)

 みなさん、こんばんは。ご機嫌よろしゅうございます。
昨日は突然の雨でしたね...出先で降られて天気予報を恨んだ、なんて方も多いのではないでしょうか?

 そんな私も見事に洗濯物をやられました(笑)。
私は基本的に夜、家に帰ってから洗濯をしてベランダに干しておき、翌日の夜に家に帰ってきてから中に取り込んで仕舞う、というのがパターンでございます。
ですから、当然のごとく洗濯をする前に天気予報で翌日の天気をチェックするわけです。予報では雨が降るなんて一言も言ってなかったのに...雨で洗濯物がやられてしまった時の絶望感といったらないですね。世の主婦の方々の気持ちが痛いほどよく分かります。
こういう時、洗濯をしてくれる奥さんがいたらなぁ~、なんて思うのはここだけの話(笑)。

 ちなみに、よく天気予報が外れた時に「当たらないわよねぇ~」なんて怒る方がいらっしゃいます。
はっきり申し上げまして、こういった批判をする方々には「足るを知る」という考え方が足りないのではないでしょうか?要するに、感謝が足りないということです。

 日本は世界の中でも天気を予想するのがとても難しい国です。
四季があり、季節によって天気や気温、湿度などがガラリと変わり、まるで別の国の様に様変わりします。
加えて天気の変わりやすい山々が国土の7割を占め、周りを海に囲まれ台風の通り道でもあります。
こういった非常に難しい自然条件の中、日本は天気予報の技術レベルを向上させてきたのです。
海外では外れるのが当たり前という認識の国がたくさんありますし、そういった国では天気予報が外れたからと言って誰も怒りません(当然ですね)。
国土のほとんどが砂漠で雨などほとんど降らない、といった国には天気予報そのものが存在しない国だってあるくらいです(そもそも、予報しようといった考えが起きないのでしょう)。
では日本はどうでしょうか?外れた時に怒るということは、裏を返せば当たっている確率が高く、かつ多くの人が天気予報が当たると信頼しているということです(ほとんどの方が無意識だと思いますが)。

 物事に絶対や完璧はありません。そして日本国内だけではなくもっと海外にも目を向けてみると、日本の良さを知り、日本人であることや日本国に対して感謝の気持ちでいっぱいになるのではないかと思います。

 釈迦に説法でした。さて、昨日に引き続き前置きがまたまた長くなってしまいましたので(笑)、そろそろ本題に入りたいと思います。

 先ほどまでの話とは逆で、日本の方が海外と比べて全く遅れている分野があります。その一つが栄養学や「食の安全」といった分野になります。
みなさんは海外では危険視されているが、日本ではその危険性が軽視されているものがあることをご存知でしょうか?
今回はそのお話、「トランス脂肪」についてです。

 今回はもうすでに長くなってしまっていることもあり(お前のせいだろ!)、難しい話は抜きにして...
マーガリンに代表されるこのトランス脂肪ですが、まずはトランス脂肪が海外ではどういった見方をされているのか、お話ししたいと思います。
○ヨーロッパ各国ではトランス脂肪を「殺人脂」として扱い、一定基準よりも多く含まれている食品を違法としている。
○デンマーク...国内のすべての食品に対して、油脂中のトランス脂肪酸の含有量を2%までと制限。
○カナダ...すべての加工食品に栄養成分、トランス脂肪の含有量の表示を義務化。
○ドイツ...乳幼児用の加工食品とオリーブオイルはトランス脂肪の含有量を総脂肪量の4%以下に制限。
○オランダ...オランダ健康審議会により、トランス脂肪は1日当たりの摂取カロリーの1%以内とする基準値を設定。
○アメリカ...すべての加工食品に栄養成分、トランス脂肪含有量の表示を義務化。またニューヨーク市では2006年12月、飲食店におけるトランス脂肪酸の実質使用禁止、2008年7月までに全ての調整食品から排除することを法律化した。
○韓国...一般の加工食品に栄養成分、トランス脂肪含有量の表示を義務化。レストランや小中学校の給食でトランス脂肪の含有量を総脂肪量の5%以下に規制、超えた場合は勧告。

とまあ、こういった感じになっています。
ここで、「あれ?そんな危ないだなんて話、聞いたことないぞ」と思った方も多いと思います。
そうです、これがまさに今の日本の問題点の1つとなっているのです。
すなわち、正しい情報が流れていないということです。

次回からは、なぜトランス脂肪が危険なのか、ということについてもう少し詳しく解説していきたいと思います。


2015年4月22日水曜日

食生活・油①

 みなさん、こんばんは。ご機嫌よろしゅうございます。
...え?どうしてそんな話し方なんだって?

 実は私、今年2月よりお茶を少々習い始めました。
私のことをご存知な方は納得いくと思いますが、このブログでも何度か着物や日本の伝統文化について触れているように、私は日本が大好きなのです。
とりわけ日本の伝統文化が大好きで休日には着物で近所に出掛けることもあった私は、当然お茶にも興味がありました。
いつもお世話になっている方からお誘いいただき今回始めたのですが...いやはや、どっぷりハマっております(笑)。

 茶道の魅力は?と聞かれるとたくさんありすぎて何を答えようか迷ってしまうくらいなのですが...ここでは1点、健康という観点でお話しさせていただきます。

 私が所属するBFI研究会の代表・三上敦士先生は、脳科学の視点に立った全く新しい主張を次々と展開しておられます。
その代表が、「脳に疲れが溜まって働きが悪くなると、筋力やバランス感覚の低下、けがの回復の遅れなど...さらには痛みやしびれなど、様々な症状を起こしやすくなる」というものになります。
初めて聞く方は一瞬「え?」と思われるかもしれませんが、よくよく考えてみると身体の様々な機能は脳が司っているので、納得していただけるのではないかと思います。

 今回はこのくらいしか触れませんが、詳しく知りたい方はBFI研究会のホームページをぜひご覧ください。
http://www.arthro-reflex.com/
またこのブログ上でも今度書きたいと思いますし、もちろん当院にお越しいただいても C'est si bon.です(ちなみに、フランス語で「結構ですな」という意味です)。

 話を戻しますが、どうして茶道が健康に良いのかと言うと、要するに脳をリフレッシュさせることができるからです。
現代社会において、私たちは基本的に「動」の時間を過ごしています。ニートや引きこもりで家から一歩も出ず、何もしていない人は別かもしれませんが...(笑)
仕事に追われ常に忙しく、ストレス社会に生き、またスマホやパソコンなどで目や脳を酷使...私たちの脳は、なかなか休む時間を与えてはもらえません。
思い当たる方も多いのではないでしょうか?

 そういった中において「お茶」というのは、そういった時間とは対極にある、まさに究極の「静」の時間になります。
ゆっくりと流れる時間、独特な“非日常”な時間、五感で楽しむ時間、感動の時間...これこそ脳にとって最高のご褒美、至高のリフレッシュタイムなのではないかと思うわけです。
もちろん趣味趣向や好みもありますので全員にとってそうとは言いませんが、少なくとも私にはそう思うわけでございます。

 もしご興味のある方がいらっしゃいましたら、ぜひはじめてみてはいかがでしょうか?
私はおすすめいたします。

 さて、ここまで読んでみてお気づきの方もいらっしゃると思いますが、「今日のブログ、タイトルと全然関係なくね?」
と、いうわけで前置きはここまでにしまして、そろそろ表題の内容に移りたいと思います。
「いやいや、前置き長すぎだろ!」「今まではなんだったんだ!」
というツッコミはお茶に...じゃなかった、水に流していただければと思います。

 今回より、久しぶりに食生活シリーズといたしまして油について書きたいと思います。
油と聞くとみなさん、どういったイメージをお持ちでしょうか?
「油=体に悪いもの」と考えている方も少なからずいらっしゃるのではないかと思います。
しかし本来、油というのは私たち人間にとって必要不可欠なものであり、大事なのはその「質」と「量」になります。
すなわち、「どの油をどのくらい摂るか」がポイントになってくるのです。
 コレステロールも同様です。本来、コレステロールそのものは全く悪くなく、健康を維持するためには必要な脂質になります。
 さきほどの脳の話とも絡めるのであれば、脳の60%は脂質で構成されています。
それはつまり、油の摂り方が脳にも多大な影響を与えるということになります。

 ということで、油の大事さが分かっていただけたと思います。
次回から油について詳しく書いていこうと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。お退屈様でした。